あぶないデブ's Report #3

【特別レポート】
仙葉由季デビュー5周年記念公演



その始まりはいつもと変わらぬ静かなオープニングでした。

仙葉さんの登場とともに仙葉隊のタンバリンが鳴り、日舞の緊張 した雰囲気が劇場を包んでいきます。とはいえ5周年のイベント を期待していた人には意外なほど静かな出だしだったかもしれません。 白い着物に身を包んだ仙葉さんは気高い天女のようです。

曲が替わり脱ぎに入ると客席に視線をくばりながら仙葉さんは しずしずと前盆に進み出てきます。白い襦袢をハラリと脱ぎさると 優雅に様々なポーズを決めていきます。

再び襦袢をふわりと体にかけ片手を差し上げたポーズの時、舞台の 四方からリボンが仙葉さんの上を舞って行きます。

そして立上がり花道を本舞台へ戻ろうとする仙葉さんを引き止めるかのように 舞うリボンの先から散るさくらの花びら。それをにっこり微笑みながら 手で受け、まるでさくらの敷き詰められたかのような花道を仙葉さんは ゆっくりと戻って行きます。

本舞台でプレゼントの花束を両手でさしあげ ポーズをきるとまばゆいばかりのバックライトの中に彼女は消えて行きました。

そしてオープンステージ。

ミラーボールだけがまわる幻想的な出だし。
In The rain〜と曲が流れる中「本日は仙葉由季デビュー5周年となります」 とアナウンスが流れ、照明が明るくなると舞台の真ん中に立つ仙葉さん。

それと同時に、客席後方の両サイドから色とりどりのメッセージバルーンが 上がって行き、ミラーフラッシュいりのクラッカーがいくつも鳴渡ります。

仙葉隊のタンバリンも最高潮。投げ込まれる紙テープで仙葉さんの姿が 埋まって行きます。

拍手とタンバリンの音で曲もかき消されんばかりに 盛上がり、最後は仙葉さんがステージで正座して深々とお辞儀して 終わりですと思ったら、仙葉隊隊長のみやちゃんが「アンコール!」の歓声 をあげます。

一般のお客さんも巻き込んで、アンコールの要求にあの『ホットスタッフ』が場内に流れます。
ところが肝心の仙葉さんがなかなか登場してくれません。 やっと登場してくれた仙葉さんの目は真っ赤。舞台の袖で涙をぬぐっていたのでしょう。 でも元気に精一杯の笑顔でアンコールに答えてくれた彼女に、劇場全員で拍手をおくります。

なごりおしげに消えていく仙葉さんに魂をぬかれたように、私は明るく なってもしばし茫然としたままでした。


1996.11.11 川崎ロック『仙葉由季デビュー5周年ステージ』にて

あぶないデブ


Return to Reports Index
Return to ASN Home